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千葉県我孫子市の市民債に応募殺到

千葉県我孫子市は、茨城県境で民間が所有する古利根沼(約16ヘクタール)の取得に充てる資金を得るため、「オオバンあびこ市民債」を発行した。償還期間は5年で、利率は9月時の国債が0.8%だったのに対し、0.58%と、自治体によるミニ公募債としては異例の低利率だった。ところが、発行額2億円に対し、その5倍となる約10億円の申し込みがあった。20歳以上なら一人10万から100万円まで購入可能で、10月1日から12日まで募集したところ、1255人もの応募があり、100万円の限度一杯まで申し込んだ人が70%あまりだった。年代別では60代が約38%で最多。我孫子市の話では、沼にはヘラブナやコイがいるが、バブル期には埋め立てによる開発計画もあったそうで、この市民債は、条件は良くないが、目的が市民に理解された、と喜んでいる。
(朝日新聞 2004年10月15日朝刊 小山 明宏)

ムーディーズ、大手銀行の格付けを引き上げ

アメリカの格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、11月12日、大手銀行の格付けを引き上げた。預金の返済能力を示す長期預金格付けは、三菱東京、UFJ、三井住友、みずほの4大メガバンクはそれぞれ1〜2段階引き上げられ、ともに最上位から5番目のA1となった。不良債権の処理が峠を越え、自己資本比率が向上してきて、財務基盤が安定しつつあることが主たる理由である。
(朝日新聞 2004年11月13日朝刊 小山 明宏)


ムーディーズ、外貨建て政府債務を最上級「Aaa」に


ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2004年4月7日、日本の外貨建て政府債務の格付をAa1から最上級のAaaに1段階引き上げたと発表した。現在、日本政府は外貨建て債券を発行していないが、日本政策投資銀行や国際協力銀行、日本道路公団など6機関が、総額300億ドル(約3兆1千億円)の外貨建て債券(海外で発行した円建て債をを含む)を発行している。政府がそれを保証しており、この政府保証債の格付けが引き上げられたものである。外貨準備高の増加が続いたことで、外貨建て債務にかかわるリスクがさらに低下した、と指摘している。一方、円建ての国債は、依然、先進国では最下位のA2のままで、据え置きの理由は、デフレ圧力や高齢化による将来負担の増加を背景に、財政状況が悪化を続けていること、と説明している。同社によると、外貨建て債券と国債の格付けが異なるのは、先進国では日本だけだという。
(朝日新聞 2004年4月8日朝刊 小山 明宏)


地方共同債は高い信用力を維持しつつ2年目を迎える

スタンダード&プアーズは2003年4月、東京都とさいたま市を除く27の市場公募団体が参加する共同発行市場公募地方債(地方共同債)が「シングルAプラス」や「ダブルAマイナス」に相当する高い信用力を持つ可能性があると発表し、このTOPICSでもとりあげた。同社は、2004年度も、この地方共同債の信用力が昨年度と変わらないと考えているとの見解を発表した。共同債の信用力は、1)参加団体の信用力、2)基本的枠組み、の2つが重要な役割を果たす。スタンダード&プアーズは昨年度、27団体すべてについて内部格付けを見直し、一部を変更したが、その結果、参加団体のほとんどが引き続き、「シングルAプラス」から「シングルAマイナス」に相当する信用力を有するとの結果を得た。発行額は8,470億円から1兆2,430億円に増加し、個別参加団体の持ち寄り学も昨年度の200-400億円から300-600億円と倍増した。ファンドへの拠出額も2004年8月25日時点で9億円程度に積み上がるが、スタンダード&プアーズによると、信用補完の水準が大きく変わるわけではないとして、2004年度も地方共同債は高い信用力を維持していると結論づけている。
(スタンダード&プアーズ 2004年4月2日 ホームページ 小山 明宏)



初の病院債を発行

2004220日、東京都葛飾区で診療所などを運営する、医療法人「明正会」(近藤正明・理事長)は、全国初の病院債を発行した。病院債は、銀行融資などに代わる医療機関の資金調達方法で、財務内容の開示など、病院などの経営者でつくる日本医療法人協会の基準にしたがって、明正会は7年満期、年利2%という条件で49口募集した。患者22名と取引業者などの法人11社が申し込み、すでに完売したとのことである。これによって明正会は4900万円を集め、介護施設の改築などにあてる。具体的には、文京区にある痴呆性高齢者向け介護施設の改築費用にあてるとのことである。

(朝日新聞 2004221日朝刊 小山 明宏)



ミニ公募債を都・区が続々発行―――安心感・地元への貢献などで人気か

 品川区は2004年1月15日、「第2回はばたけ!しながわ未来債」を発行し、受付2時間ほどで売り切れた。発行総額は2億5千万円で利率は0.76%、5年満期で購入上限は300万円、さらに区内在住か在勤者という条件だが、自治体なら安心という心理と利率の良さ、さらに、区役所前の公園整備事業という使途への賛同も、人気の一端と言えそうである。朝日新聞が得た、日本格付研究所(JCR)取締役格付企画部長の江森剛文氏のコメントによると、投資家としてはやはり安心感、今のところ他商品より高い金利、地元への貢献意識、そして自治体としても施策への参加という象徴的な意味があり、両者のニーズが一致した結果である。ただ、募集総額を増加し、自治体の資金調達の柱にするのであれば、経営状態の一層の開示が必要なのと、他商品の金利との兼ね合いで売れ行きに影響が出る可能性があるとのことである。品川区以外にも、昨年12月に豊島区が発行した「豊島ふれあい債」は、清掃事務所の建設と区立小中学校の耐震工事事業の資金調達で、総額5億円、利率は0.84%だったが、すぐ売り切れている。ミニ市場公募債は、発行条件を総務省が決めていた規制が緩和され、数億円規模でも発行できるようになって登場し、自治体も市場から資金を調達しやすくするのが狙いである。ただ、前述の江森氏のコメントとともに、むずかしいのは、公共事業の減少で手頃な事業が続かず、発行する対象事業が続かないと、次の発行まで時間が空いてしまう、ということである。

(朝日新聞 2004年2月2日朝刊 小山 明宏)



JCR、共立女子学園の長期優先債務をA+に格付け

日本格付研究所(JCR)は、2004113日、学校法人共立女子学園の長期優先債務をA+に格付けした。共立女子学園は1886年創立、神田一ツ橋と八王子にキャンパスをもつ。昨今重視される大学・短大の再編成、中高一貫教育、集中型の教育実施を目指した神田一ツ橋キャンパスの再構築などを進めている。また20044月より、三井記念病院の高等看護学院を実質的に継承して短大に看護学科を新設する点も、高く評価している。この新設の看護学科から学納金の徴収根拠を積極的に開示し、教育活動の透明化を図るなど、財務体質の強化と積極的な開示体制の構築も進めている。系列校を有することで学納金の構成バランスが比較的良く、自己資金構成比率も8590%の間で推移するなどのことも、高い評価の根拠である。

(日本格付研究所ホームページ 2004113日 小山 明宏)


ムーディーズ、バブル崩壊後初めて、邦銀を格上げ
 
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16日、米格付け会社ムーディーズは、バブル崩壊後初めて、邦銀の財務格付けの引き上げを発表した。それによると、住友信託銀行と三菱信託銀行は、EプラスだったのがDマイナスへ、新生銀行はDマイナスからDへ、あおぞら銀行はEプラスからDに、それぞれ格上げされたものである。これらの格付けは、元々低いものではあったが、各行のリスク軽減策などをムーディーズが評価したものである。合併などの特殊なケースを除けば、ムーディーズが邦銀の格付けを引き上げたのは、バブル崩壊後初めてで、これらの銀行の財務内容が改善に向かいつつある、ということが認められたものと言えよう。
(毎日新聞 Yahoo!NEWS 20031217日 小山 明宏)


ASEANプラス3声明で「アジア格付け評議会」構想

 東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓3国を加えた3国は、2003年7月6日、バリ島で開かれた財務相会合で、共同声明を採択し、経済危機の再発を防止することを目的とした、アジア通貨建て債券市場の重要性を強く指摘した。そこでは、日中韓3国がその具体化のために、アジア通貨建て債券の普及に必要な保証制度、そして格付け機関の構想を明らかにした。すなわち、アジア債券市場はアジア共通通貨の布石であり、市場育成の必要性に対する各国財務相の合意とともに、アジア格付け評議会や信用保証機構の設立を検討する方針を打ち出している。現地通貨建てで債券を発行できれば、ドル建ての場合にはドル資金の動きによっては発生するおそれのある金融不安の心配も少なくしうるし、投資資金を安定的に確保しうるであろう。
(YAHOO!ファイナンス-共同通信記事 2003年8月7日 小山 明宏)

S&P、武富士を格下げの可能性で「クレジット・ウォッチ」に

 スタンダード&プアーズ(S&P)は2003年11月17日、武富士の長期格付けを引き下げる方向で、「クレジット・ウォッチ」に指定した。これは、元社員のジャーナリスト盗聴容疑で同社に家宅捜索が入ったことと、それに伴う市場での反応などを受けてのものである。ただし、スタンダード&プアーズでは従来から不祥事に巻き込まれた消費者金融各社には、風評リスクをある程度まで織り込んだ格付けを付与しており、今度のケースでも、格付けを引き下げる可能性があると判断した場合にも引き下げ幅は1ノッチにとどまる可能性が高いとされる。「クレジット・ウォッチ」解除に向けての検証のポイントは、1)融資先の対応など調達条件への影響、2)営業自粛やイメージ悪化に伴う貸出金残高減少の可能性の有無と資産の質への影響、3)社内の規律への影響、などが挙げられている。
(スタンダード&プアーズ 2003年11月20日 ホームページ 小山 明宏)

S&P、フォードを「投機的性格」手前まで格下げ

 スタンダード&プアーズ(S&P)は2003年11月12日、アメリカ、フォード・モーターの長期債格付けをトリプルBから投資適格最低位のトリプルBマイナスに1段階引き下げたと発表した。格下げの理由は北米市場での収益源SUV市場での日本勢の現地生産化などによるマーケットシェアの低下などにより、損益およびキャッシュフローの低迷が挙げられている。ただし、今後については、2年間以上、収益やキャッシュフローにめざましい改善を望めなくても、手元資金を厚めに維持する限りは、危機感を持つ必要はない、としている。
(NIKKEI NET 2003年11月13日 小山 明宏)

2003年7月22日更新


病院の経営も格付けへ

病院の経営者団体の日本医療法人協会は5月、病院の格付け機関の役割を担う地域医療振興債認証審査会を設置した。債券で調達した資金の使途を医療目的に厳しく限定するなどの基準を設ける、審査を通った場合にのみ発行できる、などの発行に向けた基盤整備を進める方針である。病院の資金調達は従来、銀行などからの融資か厚生労働省所管の社会福祉・医療事業団からの融資が主である。しかし病院の建物や土地は病院以外への転用がむずかしいことから担保価値が低いこと、また情報公開の不十分さなどから銀行による融資は病院経営の必要資金を十分まかなうまでには行かず、一方で医療条件の向上や高度医療機器の導入の必要性など、投資意欲と資金需要は非常に大きいのが実情である。債券発行は今の制度でも可能だが、前述の通り、病院の経営内容のディスクロージャー(情報開示)はまったく不十分であること、また医療機関全体の質(財務や診療内容)を第三者が評価する仕組みがないことから、債券のリスクを判断する手がかりがなく、引き受け手がいなかったのである。しかし、資金調達手段を多様化し、資金面を改革する動きがここにきて出始めている。病院の情報公開、質の向上も期待して、厚生労働省は「これからの医業経営の在り方に関する検討会」の最終報告を発表し、債券発行を含めて病院の資金調達の多様化案を打ち出したものである。今年度中にも債券の発行指針を作る。債券の発行はディスクロージャーが不可欠なため、病院経営や診療内容などが市場と患者の目にさらされ、医療の質の向上につながる可能性も重視される。
(日本経済新聞、2003年6月26日朝刊、 小山明宏)

日銀、ダブルBまでの資産担保証券を購入

日銀は6月11日に資産担保証券の買い入れを決めたが、購入対象に投機的とされるダブルB格の債券まで含めたことが最大の特徴である。中小企業金融の円滑化と、発展途上の市場育成に役立てるためには、投資適格で買い手も多いトリプルB程度にとどまれば、日銀がわざわざ購入する意味がない、という意見が強まり、一段階リスクの高いダブルB格までの購入を決めたのである。しかし、日銀は2002年11月に総枠2兆円で始めた銀行保有株買い取りで、2003年3月末で658億円もの含み損を抱えており、これに続くリスク資産の購入拡大に対し、これまでよりも信用リスクが大きいものが対象になることで日銀の財務の健全性を損なう恐れは否定できない。ダブルB格まで対象とすると投資家層が少なく、市場育成のために日銀が買い進めることは理屈は通るが、日銀の財務リスクが拡大することになりかねず、また公的機関の日銀による関与で、資産担保証券市場の需給関係が崩れ、適正な価格形成をゆがめる恐れも指摘されている。
(日本経済新聞、2003年6月12日朝刊、 小山明宏)

債券市場は活況

債券市場でリスクへの警戒感が失われている。りそな銀行の実質国有化をきっかけに、大手行の経営が悪化しても債券が完全に紙屑になることはない、との見方が投資家に広がって、銀行債の市況は今、細かな財務分析など問題にしないほどの追い風が吹いている。国債への上乗せ金利(スプレッド)は通常、信用リスクが小さいほど、すなわち格付けが高いほど低くなるが、みずほコーポレート銀行は0.16%、UFJ銀行が0.18%で、2002年秋の、銀行に厳しいとみられた竹中金融相就任時にUFJ銀行のスプレッドが0.7%近くに跳ね上がったのとは大変な違いである。西武百貨店、熊谷組など債権放棄の決定が相次いだうえ、産業再生機構も発足して、銀行が関与していることへの不思議な安心感が広まり、証券会社では「ここは銀行借入が多いから大丈夫です」などというせりふが証券会社の売り口上の一つになったとさえ言われている。
(日本経済新聞、2003年6月14日朝刊、 小山明宏)

2003年6月24日更新


都住宅供給公社、独自公募債を発行

証券決済制度改革に伴う法改正で、2003年1月から公募債発行が可能となった東京都住宅供給公社は、機関投資家などから広く資金を調達するために、独自の信用力に基づき、格付けを取得して、年明けにも公募債を発行する予定である。また、縁故債しか発行が認められていなかった時期に発行され、今年度に償還期限を迎える東京都の損失補填付き縁故債を、その借り換えにあたって公募化する。この2種類合計で300億円程度の調達を目指す。このような公募債発行にあたり、有利な格付け取得のため、財務内容ディスクロージャー、資産基盤の強化、居住者との賃貸契約内容の見直しなどの経営改善策を打ち出していることが注目されている。すなわち、年度内に投資家向け広報(IR)説明会を開き、ホームページを開設するほか、公社が建設する賃貸住宅の所有権を公社が保有し続けられるよう東京都との契約を変更したり、これまで定期的に見直していなかった賃貸住宅の家賃を3年ごとに見直し、また今年から導入した定期借家制度の対象も広げる予定である。さらに、こうした経営改善策の効果をフォローアップするため、数値目標を掲げた経営指標を設定する。
(日本経済新聞、2003年5月29日朝刊、 小山明宏)

大手銀行債に買い安心感

運用難に苦慮する投資家は、銀行のぜい弱な財務内容に警戒を強めていたが、りそなグループへの公的資金の投入など、政府の安全網が金融システム不安を封印する、との見方が強まった結果、大手銀行の普通社債や劣後債への買い安心感が広がっている。2002年秋の小泉改造内閣発足以来、大手銀行に公的資金を注入するという思惑が強まり、一時はUFJ銀行債のスプレッド(国債に対する上乗せ金利)が0.7%強まで跳ね上がったが、現在は0.24%と、他の大手銀行の普通社債とともに、いずれも昨年比で半分程度まで縮小している。りそなが実質国有化されても債券の元利払いには影響がないことが、買い安心感を誘っていると見られる。ただし、これには投資家側の事情もある。すなわち大量の、高利回りの事業債が償還期限を迎え、投資家としては多少のリスクには目をつぶっても、かわりの運用先をさがす必要があるからだ。そうなると、銀行の普通社債や劣後債まで含めてめぼしい銘柄を買い急がざるを得ないのである。
(日本経済新聞、2003年5月29日朝刊、 小山明宏)

マイカル債、3割弁済

2001年9月に1兆7400億円の負債を抱えて破綻したマイカルは、2000年に個人向け社債約900億円を発行しており、購入した投資家は約3万8000人にのぼる。これは個人を巻き込んだ過去最大の社債の債務不履行(デフォルト)として市場をゆさぶり、個人向け社債の発行が一時ストップした経緯がある。その後、2001年11月にマイカルは会社更生法の適用を東京地裁に申請し、また同じ月に、総合スーパー最大手のイオンがマイカルの再建を支援することを表明している。そして2003年5月28日、マイカルは更生計画案を明らかにした。それによると、債券額2000万円以下の個人を中心とした小口債権者への弁済率は平均3割程度、2000万円以上の大口債権者に対しては1割以下にする方向で、2年以内に弁済するもようである。債権の額面に対する弁済額の割合である弁済率は、破綻企業の社債では、一般に小口、大口にかかわらず一律になるケースが多いことを考えると、このように債権者によって弁済率に格差をつけるのは異例である。これは、破綻直後にマイカルが中小零細の取引先に500万円以下の少額債権を返済したこともあり、個人の社債保有者や小口債権者間の公平性に配慮して、金融機関にくらべて体力の弱い小口債権者に手厚い弁済率を示すことによって更生計画への同意を取りつける狙いがある。債権者と最終調整をしたあと、6月末に裁判所へ提出する。
(日本経済新聞、2003年5月29日朝刊、 小山明宏)

2003年5月13日更新

超低金利下、低格付け社債にも買い手

 東京債券市場で、30年物国債の利回りが、なんと1%を割り込み、あらゆる国債の利回りが0%台に突入している。米国でも金利は下がってはいるが、それでも短期でも1%以上の金利はついているのである。しかし、買われ続けて価格上昇を続ける国債に警戒感が強まってはいるものの、株安が続いて投資先を失った資金の、国債市場への流入は止まらない。国内の銀行、生保などの機関投資家は半ば消去法で、債券市場を選んでいる。
 こうした中、社債市場が国債市場とともに活況を呈することとなっている。それも投資適格ぎりぎりのBBB格社債も今年2月頃から、本来リスクの高さに比例するはずの対国債スプレッド(上乗せ金利)が急速に縮小してきている。01年秋の大手スーパー、マイカルの倒産でBBB格社債は投資家から敬遠され、高格付け社債に比較して対国債スプレッドが目に見えて大きくなっていた。しかし、03年5月初めには証券会社から大手機関投資家へ、経営再建中の大手スーパー、ダイエーの社債の買い手を求める電子メールが送られ、担当ファンドマネージャーが目を見張る、ということまで起こっている。証券会社がここまで強気の売り込みを始められるほど、社債には買い手が殺到しているのである。そこには、これまで避けていた低格付け銘柄でも手を出していかないと利回りがとれない、という背景がある。こうした「追い風」に乗り、01年夏を最後に新規発行を見合わせていた太平洋セメント(4月)、丸紅、住友金属工業、神戸製鋼所(ともに5月)など、新規発行が急増し、4月の新発社債総額は3年ぶりに1兆円規模に達している。
 ただし、買い手としてもそれらが本来リスクの高い債券であることは承知の上であって、こわごわ買っていることから一度デフォルト(債務不履行)が起これば資金が一斉に逃げ出すおそれがあるとの懸念もある。
(朝日新聞、2003年5月10日朝刊、 小山明宏)

地方共同債の信用力は投資適格上位

 2003年度の地方共同債(共同発行市場公募地方債)発行予定額は8470億円で、これは同年度発行予定の市場公募地方債総額3.8兆円の22%にあたる。この地方共同債に対し、スタンダード&プアーズはシングルAプラスやダブルAマイナスという高い水準の信用力を有する可能性があると考えている。その理由は次の通りである。
 まず、その参加団体の信用力の高さが注目される。すなわち、スタンダード&プアーズは参加27団体のいずれに対しても公には格付けを付与してはいないが、そのすべてについて公開情報に基づく内部格付けを付与しており、いくつかの自治体には個別投資家の依頼に基づく信用調査リポートを作成している。これらの作業を通じ参加団体のほとんどがシングルAプラスからシングルAマイナスに相当する信用力を有すると考えている。
 次に、そこでの連帯債務の法的枠組みである。実際の調達額にかかわらず、すべての参加団体が共同債全額の債務履行に法的責任を持つという、地方公共団体の共同発行の仕組みとしては最も強い共同責任を迫る仕組みが注目される。このような形態の背景には、地方財政法に、地方公共団体が共同で債券を発行する際には参加する自治体の連帯債務とするという規定があるからである。
3つめとして、信用力の高い参加団体から支援を得られる可能性があることである。参加団体の中で信用力の低い団体の財政が逼迫した場合に、信用力の高い団体が連帯債務を履行できれば、この共同債は少なくとも参加団体の中で最も信用力の高い団体の格付けと同等の格付けが付与される可能性が十分にある、との見方である。
 また、それぞれ独立した信用リスクを抱える複数の機関による連帯債務や保証は、単一の機関が債務発行を保証する場合よりもデフォルト・リスクが低くなる、という認識もあり、更に、この共同債には年間で最も元利金償還負担額が重くなる月の負担額10%相当を積み立てる、流動性補完を目的としたファンドが創設され、これも共同債への信用力を高く評価する一因となっている。
(スタンダード&プアーズ 2003年4月7日 ホームページ 小山 明宏)

2003年4月15日更新

電力9社格付け引き下げの方向

 米格付け会社のムーディズ・インベスターズ・サービスは3月4日、沖縄電力を除く日本の電力9社の長期債務格付けを、引き下げ方向で見直すことを発表した。それによれば、電力の自由化で今後競争が激しくなり、財務体質の改善が遅れる可能性がある、と指摘しているものである。現在の電力各社の格付けは、東京電力、中部電力、関西電力の3社は上から2番目のAa2、北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力の6社は上から3番目のAa3となっている。
(朝日新聞、2003年3月5日朝刊、 小山明宏)

三井化学・住友化学の統合見送り、格付けに影響なし

 米格付け会社のムーディズ・インベスターズ・サービスは4月2日、三井化学(格付けBaa2)と住友化学(格付けBaa1)が事業統合交渉を打ち切ることを発表したことに関して、このことが両社の格付けに即座に影響を及ぼすことはないとコメントした。2000年11月に両社は、2003年10月をめどに事業を完全に統合する方向で交渉を開始したと発表したが、合併にかかる時間が長くて不確定なことが多く、ムーディズ・インベスターズ・サービスは、統合計画のプラスの影響を両社の格付けに織り込むことはしていなかった。今後は引き続き、両社がそれぞれの長期事業戦略に基づいていかに競争力を高めていくかを見守っていく、としている。
(ムーディーズ ジャパン 2003年4月8日 ホームページ 小山 明宏)

三井住友FGの業績下方修正、三井住友銀行の格付けに影響せず

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は4月4日、2003年3月期の当期損益が当初予想の300億円の黒字ではなく4700億円の赤字になるとの見通しを発表した。三井住友銀行の不良債権処理費用が従来予想の7000億円から1兆700億円に増加したことや、従来見込まれなかった株式等関係損失6300億円を計上することが主要因である。しかし、アメリカ大手格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、同行の現在の格付け(BBB/ネガティブ/A-2)には、与信関連費用が発表額程度まで増加するとの見通しや、株式保有に関するリスクはすでに織り込み済みで、これによってSMFG傘下の三井住友銀行の格付けに直ちに影響が及ぶことはないとしている。
(スタンダード&プアーズ 2003年4月4日 ホームページ 小山 明宏)

三菱東京の業績下方修正、傘下銀行の格付けに影響せず

 三菱東京フィナンシャルグループ(MTFG)は4月2日、2003年3月期の経常損失が当初予想の1650億円ではなく4050億円になるとの見通しを発表した。しかし、アメリカ大手格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、同グループ傘下の東京三菱銀行と三菱信託銀行の現在の格付け(ともにBBB+/ネガティブ/A-2)には、株式保有に関するリスクはすでに織り込み済みで、今回の業績予想の下方修正によって両行の格付けに直ちに影響が及ぶことはないとしている。MTFGの自己資本の状況は、国際比較においては中程度であるが、大手邦銀との比較においては引き続き良好である。
(スタンダード&プアーズ 2003年4月3日 ホームページ 小山 明宏)

韓国を引き下げ

 米格付け会社のムーディズ・インベスターズ・サービスは2月11日、韓国の格付け見通しを、現在の「ポジティブ(強含み)」から「ネガティブ(弱含み)」に2段階引き下げたことを発表した。それによれば、北朝鮮の核問題が解決されておらず、不確実性が高まると判断したということである。韓国の外貨建て長期債券の格付けは、現在は「A3」だが、長期的には引き下げの可能性が高まることになる。
(朝日新聞、2003年2月12日朝刊、 小山明宏)

法政大「AAマイナス」の格付け取得

 法政大学は2月6日、格付け会社の投資情報センター(R&I)から、学校法人としては初めて、長期優先債務格付けを取得した。この格付けは企業や団体の信用力を示すもので、法政大のランクは上から4番目の「AAマイナス」と、高いものになっている。米国では大学の格付け取得は一般的だが、R&Iによると、学校法人としては日本で初めて、長期優先債務格付けを公表したもので、R&Iによる格付けとしてはフジテレビや三井物産、三菱地所と同じである。格付けにより大学を外部から評価する例としては、経済産業省が「産学連携」の貢献度の観点からの独自の指標作りを始めているが、今度の格付け取得の理由として法政大は「資金調達の多様化」を挙げている。すなわち、高い格付けを得ることによって将来、債券発行による外部からの資金調達が可能になる、経営の健全性のアピール、などもできる。18歳人口は93年から減少過程に入り、03年ではピーク時の4分の3以下に減る一方、09年には進学希望者と入学者が一致する、いわゆる「全入時代」になるとされている。法政大は新学部の設置に積極的で、99年度以降は入学志願者が増加に転じ、03年度は過去最高になるなど、少子化の中で健闘している点が評価されたという。
(朝日新聞、2003年2月7日朝刊、 小山明宏)

UFJの格付け下げ

 2月19日、米系格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズは、UFJホ−ルディングスの財務内容は依然として弱い、として、同ホ−ルディングス傘下のUFJ銀行とUFJ信託銀行の短期格付けをA2からA3へと格下げした。邦銀としてはみずほ銀行などと同水準となる。
(朝日新聞、2003年2月20日朝刊、 小山明宏)

韓国国債・外貨建て長期債券、引き下げとの見方

 既報の通り、米格付け会社のムーディズ・インベスターズ・サービスは、北朝鮮の核問題が悪化し、調整を繰り上げざるを得ない、と判断して、韓国の信用格付けの見通しをポジティブ(強含み)からネガティブ(弱含み)に2段階引き下げたが、これは、北朝鮮リスクは経済に織り込み済みで、影響はないと楽観していた政府や経済界に大きなショックを与えた。財政経済省は、他の格付け会社に引き下げの動きはないとしているが、18日に起きた、大邱市の地下鉄火災で多数の死者が出たことも、国内のムードを暗くしており、「消費者心理の悪化は避けられない」とみている。ムーディズの4月の定期見直しで、韓国の国債や外貨建て長期債券が現在の上から7番目の「A3」から引き下げられる、との見方が強く、韓国大手の証券アナリストは、外国人投資家の株や債券の売り圧力が高まった、としている。
(朝日新聞、2003年2月19日朝刊、 小山明宏)

2003年2月10日更新

フィッチ、みずほの格付けを「弱含み」で維持

 欧米系格付け会社のフィッチは、21日付の広報資料で、このたび1兆円規模の増資計画を発表したみずほホールディングスと系列銀行について、シングルAの格付けのもとで「弱含み」の見通しを維持することを発表した。それによれば、増資の実現は望ましいが、増資後も内部資本の蓄積は不十分な水準にとどまることが考えられる、ということである。
(朝日新聞、2003年1月23日朝刊、 小山明宏)

銀行・企業、起債相次ぐ

 1月22日、UFJ銀行は5年債500億円を起債し、前週末に10年債150億円を起債したばかりの三井物産も、投資家の需要が旺盛なので追加調達できると判断し、再び10年債100億円の募集を決めた。今後も東京電力など高格付け債の起債が続く見通しだが、機関投資家が好んで買うシングルA以上の社債のスプレッド(国債との利回り格差)は、強気相場が続く中でほぼ限界に達したという見方もあり、高格付け債の妙味は薄れているという。足元の好需給に油断すると売れ残りなどの手痛いしっぺ返しを食うリスクは残る。低コスト調達に執着しすぎると、一転して相場を壊しかねない。
(日本経済新聞、2003年1月23日朝刊、 小山明宏)

フィッチ、東京三菱銀行などの長期債を格下げ

 1月30日、欧米系格付け会社フィッチ・レーティングスは、東京三菱銀行、みずほコーポレート銀行、UFJ銀行、三井住友銀行の長期債格付けを引き下げたことを発表した。それによると東京三菱銀行は上から6番目のシングルAからシングルAマイナスに、みずほコーポレート銀行、UFJ銀行、三井住友銀行の3行はシングルAマイナスからトリプルBプラスに、それぞれ1段階引き下げたものである。それによると、各行の増資計画が資本の質の改善につながらず、むしろ配当負担の増加が懸念される、としている。
(日本経済新聞、2003年1月31日朝刊、 小山明宏)

兼松、銀行保証付転換社債を発行

 1月31日、兼松は主取引銀行の東京三菱銀行の元利保証が付いた転換社債型新株予約券付社債を発行すると発表した。発行額は50億円で、株主資本を増やすのがねらいである。格付投資情報センター(R&I)による兼松の格付は現在「Bプラス」で、有利な低コストでの社債発行は難しいが、東京三菱銀行による銀行保証で、JCRからダブルAを取得した。転換価額は2月7日の兼松株終値に1.15を乗じた金額。
(日本経済新聞、2003年2月1日朝刊、 小山明宏)

社債発行、活発だが小粒

 長期金利が過去最低水準に突入するなか、普通社債の発行が活発だが、100億〜200億円の小粒な起債が多く、発行総額は2月払い込み分を含めてもまだ9,000億円に届かない。日銀が十分すぎるほど資金を供給することで、投資家のカネ余り感は極まってきたが、20年物の普通社債の発行を決めた大阪ガス、九州電力とも格付けはダブルAプラス(格付投資情報センター)と高く、トリプルB格の起債は限定される。大型起債が少ないのも市場がいまひとつ盛り上がらない理由の一つである。手数料、スプレッド(国債利回りに対する上乗せ幅)とも以前より低下していることで、売れ残りなどへの警戒から、証券会社は引き受けリスクを取りにくくなっている。発行額が抑えられている可能性もある。ただし、あまりの低金利のため、普通に運用していては収益が確保できないことから、多少信用力が低くても利回りの高い銘柄を買いたい、ということで、低格付け社債を物色する動きも広がりつつある。
(日本経済新聞、2003年1月30日朝刊、 小山明宏)

2003年1月27日更新

金利低下で企業などの起債相次

 長期金利が過去最低に近い水準まで下がっていることを背景に、企業や特殊法人の債券発行が急増している。社債の償還資金などを前倒しで調達する動きが広がっている。15〜17日の間に10社が公募社債を起債したほか、3つの政府系金融機関が財投機関債を募集した、募集総額は3190億円となった。16日には、中国電力が7年物の普通社債としては過去最低となる0.580%で300億円の社債発行を決め、それでも大手証券によると、年限7年前後の債券への需要は高く、すぐ完売している状況という。市場では、短い年限のトリプルB格債には投資妙味があり、積極的に投資している、との声も聞かれる。三菱証券によると、社債の償還額は2002年度、2003年度とも6兆〜6兆3000億円と高水準で推移し、企業の償還資金調達ニーズが高まっている一方、長期金利の急低下から資金運用難に悩む投資家は少しでも高い利回りを求めて社債に資金を振り向けている。
(日本経済新聞、2003年1月18日朝刊、 小山明宏)

富士通の長期債、2段階格下げ

 1月15日、米格付け会社ムーディズ・インベスターズ・サービスは、富士通の長期債を現在の「A3」から、上から9番目の「Baa2(トリプルBに相当)」に2段階引き下げたと発表した。ムーディズ・インベスターズ・サービスによると、今度の変更は、2003年3月期に資本勘定が大幅に悪化することによるとしている。ただし、ソフト・サービス部門の強化などで営業成績を安定させていくことは可能であるという判断から、格付けの見通しは「安定的」としている。
(日本経済新聞、2003年1月16日朝刊、 小山明宏)

ドコモの格付け見通し「弱含み」

 1月7日、米格付け会社ムーディズ・インベスターズ・サービスは、NTTドコモの長期債務は現在上から2番目の「Aa1」となっているが、その見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更すると発表した。今度の変更はムーディズ・インベスターズ・サービスによると、第3世代携帯電話の加入者の獲得が遅れているため、ということであるが、将来の格下げに直結するものではない、としている。
(日本経済新聞、2003年1月8日朝刊、 小山明宏)

R&I、コニカ債格下げ、ミノルタは格上げ

 1月7日、格付投資情報センター(R&I)は、シングルAマイナスとしているコニカの普通社債6本などを格下げ方向、ダブルBのミノルタの普通社債などを格上げ方向で見直すことを発表した。それによると、コニカが、財務内容の弱いミノルタと経営統合することで、統合後の持株会社の財務構成が現時点のコニカより悪化する、ということである。
(日本経済新聞、2003年1月8日朝刊、 小山明宏)

ムーディズの日本国債格付け、当面現状のままの見通し

 大手格付け会社ムーディズ・インベスターズ・サービスは、日本の長期国債の格付けについて、今後2〜3年間は現状のまま「A2」に据え置くとの見通しを示した。同社の国債格付け担当のトーマス・バーン氏は14日、日本記者クラブで行った講演で明らかにした。バーン氏は、日本国債を一気に2段階格下げした2002年5月以降の状況を、「安定的に推移している」としたが、格付けを改善するためには財政赤字の縮小と、その持続性が確認できることが必要、とした。
(朝日新聞、2003年1月15日朝刊、 小山明宏)


2003年1月7日更新

2002年のデフォルトは過去最高、EUと通信部門に大打撃

 スタンダード&プアーズのリスク・ソリューション・グループは17日、2002年通年のデフォルト統計調査の速報値を発表した。それによると、ドル建ての負債総額は1,573億ドルを上回り、過去最高水準に達する見込みである。しかし、世界全体でみたデフォルト率は2002年半ばをピークに減少している。2002年には通信業界とヨーロッパの企業が最も大きな打撃を受けたが、スタンダード&プアーズは、2003年には世界全域でデフォルト率が緩やかに低下するものの、通信およびメディア&エンターテインメント部門では引き続き高水準にとどまると予想している。
 格付けが付与されている全発行体のうち2001年は3.48%がデフォルトとなったが、 2002年は今までのところ3.49%がデフォルトとなった。投機的格付けにある発行体が デフォルトとなった比率は、世界全体で2001年2002年ともに8.94%であったが、これは 過去最高の10.87%を記録した1991年の水準を下回っている。また、投資適格にある発行体がデフォルトとなった比率は、2001年は0.24%であったが、2002年は0.44%に達している。2002年にデフォルトとなった投資適格の発行体数は過去最高であり、その理由としては、親会社から子会社への支援の廃止、困難な経済環境、不正などが挙げられる。
(スタンダード&プアーズ 2002年12月18日 ホームページ 小山 明宏)

ソウル市、初のサムライ債起債

 ソウル市は12月10日、初の円建て外債(サムライ債)の発行条件を決めた。募集期間は11日から25日で、格付投資情報センターとアメリカのスタンダード・アンド・プアーズからシングルAマイナスの格付けを取得している。発行条件は、1年物、2年物、3年物、5年物、7年物の5本建てで、発行額は485億円。表面利率は1年物が0.39%、3年物が0.77%、7年物が1.37%などとなっており、発行価格は100円である。
(日本経済新聞、2002年12月11日朝刊、 小山明宏)

27道府県市が「共同債」

 総務省は12月22日、2003年4月より北海道、大阪府、福岡県、横浜市など全国27の道府県と政令指定都市が市場公募地方債を共同発行することで基本合意したと発表した。全国の市場に流通する公募債の発行が認められている28の自治体のうち、すでに年7千億円(10年債)を単独で発行している東京都を除く27自治体が協調するものである。償還期間は10年で、各自治体が年200億円から400億円の枠内で発行し、年間の総発行額は、来年度の全国型市場公募債の発行総額3.5兆円(総務省推計)のおよそ4分の1を占める8千億円が見込まれている。総務省は共同発行のメリットとして、発行規模が大きくなることと連帯債務となることで、市場評価が高まること、および銘柄が統一されて証券会社や銀行に支払う事務手数料が軽減される、などを挙げている。
(朝日新聞、2002年12月23日朝刊、 小山明宏)

道路公団、財投機関債500億円を順調に消化

 日本道路公団は12月10日、5年、10年、20年の3本建ての財投機関債500億円を募集し、主幹事のみずほ証券とモルガン・スタンレー証券によると販売は順調に進んだとされる。発行額と応募者利回りは5年債が150億円で0.586%、10年債が100億円で1.334%、20年債が250億円で2.28%である。国債利回りに対する上乗せ幅はそれぞれ0.25%、0.32%、0.60%で、流通市場での10年債の上乗せ幅が0.4%強で推移しているのに比べると物足りないという指摘もあったが、絶対利回りを重視する投資家の需要が集まったようである。
(日本経済新聞、2002年12月11日朝刊、 小山明宏)

大幅増発が予想される国債に、「発行額は月2兆円までに」、と懸念の声

 財務省が10日開いた国債市場懇談会で、心理的な影響を考えると、各年限の国債発行額は月に2兆円を超えない方がよいという懸念の声が上がった。国債の市中発行額は今年度計画で初めて年100兆円を超え、来年度は税収の低迷などでさらに増発が避けられそうもないが、それをまかなうために10年債や5年債などの発行額を増やすとそれぞれ月2兆円を超える可能性がある。10年債や5年債はすでに毎月1兆円台後半ずつを発行しており、財務省は「2兆円の壁」を意識しながら、限られた増発余地を探ることになろう。我が国の国債のデフォルトリスクは、格付け機関による格付けから考えても現在のところ投資家が意識するほどのものではないが、発行額が大量になるにつれ投資家の心理、警戒心が増す可能性がありうることを懸念したものである。
(日本経済新聞、2002年12月11日朝刊、 小山明宏)

新発10年物国債利回り、一時1%割れ

 12月13日の債券市場で、新発10年物国債の利回りが、一時、前日比で0.010%低い0.990%をつけた。長期金利としての新規発行10年物国債の利回りが1%を割りこむのは今月2日以来である。12日の日銀短観で景気の先行きに対する不安感が強まっていること、また足元の景況感の改善で今年度補正予算や来年度予算の歳出が景気テコ入れの観点から大きく膨らむ可能性が小さくなり、そして前日の20年債の入札が無難な結果になったことから、買い安心感が広がったとされる。
(日本経済新聞、2002年12月14日朝刊、 小山明宏)

2002年12月3日更新

S&Pが日本企業150社を対象とした企業情報の「透明度ランキング」を発表(遡及記事)

 企業情報のディスクロージャーはコーポレートガバナンスの主要な指標のひとつになっているが、S&Pはアメリカおよびアジア・太平洋地域の500社に次いで、日本企業150社の企業情報「透明度ランキング」を発表した。ランキングの方法は、投資家向け広報、財務、取締役会の構成など3系列98項目について、10点満点でランキングしたもの。10が最高で1が最低。日本企業150社については5〜7のランクに分散しており、ランク6が大半を占める。トップは大和證券、伊藤忠など19社がランク7であり、全体として「取締役会および経営陣の構成とプロセス」系列が4〜3ランクと劣っている。ちなみに、アメリカではAOLタイムワーナーが9ランクで最高(10ランクは該当無し)であり、アジア・太平洋地域ではランク8が8社存在する。
(週間東洋経済、平成14年5月25日号、日本大学 黒沢義孝記)

フィッチ、日本長期国債の格付けを引き下げ

 欧米系格付け会社のフィッチは、11月21日、これまでAAだった日本の長期国債の格付けを、AAマイナスへと1段階引き下げることを発表した。これで大手格付け会社3社すべての格付けが、日本国債は先進7カ国中最下位となった。さらに、邦銀についても、格下げの方向での見直しに着手した。フィッチによれば、「日本の財政、金融政策に協調性が見られない」として、今後の国債格付けの見通しについても、ネガティブ(弱含み)としている。また 1)財政状態が引き続き悪化、2)不良債権処理の遅れ、3)デフレ収束の動きがみられない、等の理由で来年秋の見直し作業でさらに格下げする可能性を示唆した。
(朝日新聞、平成14年11月22日朝刊、学習院大学 小山明宏)

社債発行による資金調達、シングルA以下では高コスト化

 企業の資金調達全体のうち金融機関からの融資という「間接金融」が占める割合は米国の20%以下に対し、日本は60%に達するとされる。一方、現代日本での「直接金融」で重要な役割を果たす債券市場は、元来間接金融よりも低コストでの資金調達が可能であることが魅力である。ところが大手生保の運用担当者によると「今はトリプルB以下は手が出せない」という。「企業の突然死が珍しくないことを考えれば、利回りは低くても電力やガスなど安全性の高いものにいかざるをえない」ということで、トリプルBやシングルAの企業では、銀行借入(間接金融)の方が新規の社債発行(直接金融)より安く資金調達できるという「逆転現象」が起きている。トリプルBの電機メーカー担当者は「期間3〜5年だと今なら銀行から1%前後の金利で借りられるが、社債を発行すれば2%近くなる」と話している。
(朝日新聞、平成14年8月8日朝刊、学習院大学 小山明宏)

ミニ地方債が人気

 財源確保に頭を悩ませる自治体と、有利な運用先を求める市民の意向が一致し、自治体が一般の住民向けに売り出すミニ市場公募債が群馬県、兵庫県、東京都、大阪市など日本各地で人気を集めている。利率はいずれも国債と同じか高めで、1万〜10万円単位と小口で購入できる。超低金利の昨今、安全で高利率の運用先として注目されている。これまでは、市場公募債は一部の都道府県や政令指定都市など28自治体に限られ、さらに販売先は主に機関投資家だったのである。すなわち自治体が発行する地方債は、指定金融機関などが引き受ける縁故債や政府の引き受けが中心だったが、自治体の財政悪化を背景に、一部の都銀が縁故債引き受けから撤退するなど、慎重な金融機関が増え、さらに財政投融資の見直しで、02年度の政府の地方債引受額が前年度より2,100億円減の7兆6千億円へと減少する予定になっている。こうして多くの自治体は、安定した資金調達先を確保するべくミニ公募債が脚光を浴びるに至ったのである。
 ただし、集めた資金の使い道を、防災センターの建設や道路の整備とか具体的に示すなど、その分責任を伴うのは確かである。また自治体は、結局は税金で返済するのだから、透明性、説明責任などを果たす必要がある。
(朝日新聞、平成14年11月21日朝刊、学習院大学 小山明宏)

アルゼンチン、世銀への債務で事実上のデフォルト(債務不履行)

 債券による資金調達ではないが、アルゼンチン政府は11月14日、この日が返済期限だった世界銀行への8億ドルの債務について、金利分の約8千万ドルだけを返済することを決定した。すなわち元本分の不払いということで、国際金融機関に対する事実上の債務不履行(デフォルト)となる。
(朝日新聞、平成14年11月16日朝刊、学習院大学 小山明宏)

ムーディーズ、日本の外貨建てカントリー・シーリングを引き上げ

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、10月21日、日本の外貨建て債務及び銀行預金のカントリー・シーリングをAa1からAaaに引き上げた。Aaaとは、投資対象としてリスクは最小限、元利払いの安全性については、確実性が最も高いという、最高位の格付けである。カントリー・シーリングとは、その国の居住者の外貨建て債務の格付けの上限であり、対外支払い危機に直面した時、政府が外貨建て資産の優先的配分をする意図から、広範なモラトリアム(債務支払い猶予)を実施するリスクを前提としたものである。
(ムーディーズ・インベスターズ・サービス、ホームページより、学習院大学 小山明宏)

2002年11月17日更新

社債、「投資適格」でも敬遠

 ある非鉄大手企業は、年末に200億円の社債償還を控え、借り換えのための社債の新規発行に悩んでいる。同社の格付けはトリプルBプラスで、本来ならば問題なく発行できるはずだが、これまでのように投資家に購入してもらえるか、見通しがつかないという。今年1〜6月の普通社債発行額は3兆4,370億円で、前年同期より1兆円以上減った。これはワールドコムなどの破綻で投資家心理が冷え込み、トリプルBクラスでも新規の起債がたやすくはなくなったことを示している。02年4〜7月にトリプルBクラスの企業で起債したのは住友不動産、大成建設、日産自動車、消費者金融のクレディアの4社だけである。それよりも格付けの高いAクラスの社債でも、利回りを大幅に引き上げざるを得なくなっている。一方で、トリプルAの東京電力が7月に発行した一千億円の10年債は、国債利回りに対する上乗せ金利は0.08%と、昨年5月に同条件で発行した際の0.173%から大幅に低下した。投資家がリスクに対して従来よりも敏感になり、一部の高格付け社債に資金が集中して、それ以外の企業との二極化が顕在化している。
(朝日新聞、平成14年8月8日朝刊 : 学習院大学 小山 明宏)

金融再生プログラム発表でも銀行格付けに影響せず

 アメリカ大手格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、02年10月31日に発表したリポートで、政府が発表した「金融再生プログラム」に対して、それによって銀行の格付けにはただちに影響が及ぶことはない、との見解を明らかにした。そこでは、「金融再生プログラム」による具体的な計画を政府が断行しないかぎり、金融市場は不安定なままで、政治家らの発言に反応し続ける、と指摘して、このプログラムの発表によって銀行の格付けをすぐに引き上げることは考えにくい、としている。
(朝日新聞、平成14年11月2日朝刊 : 学習院大学 小山 明宏)

東京海上系列投信会社、外銀破綻でも償還保証の投信を販売

 東京海上火災保険は02年10月29日、系列の投信会社が12月に設定する2種類の投資信託で、欧州の大手銀行が発行する社債によって運用する投信に関して、当該銀行がデフォルトに陥った場合にも元本を保証することを条件に発売することを発表した。これは、残高の90%が国債、残りが欧州大手銀行の発行する円建て日経平均株価連動債で運用するもので、公募投信の設定にあたり社債の償還を保証するものは、国内金融機関では初めてである。仮に当該欧州大手銀行が破綻などでデフォルトに陥った場合でも、全体の元本に2%を上乗せして、その投信を繰り上げ償還する、としている。
(朝日新聞、平成14年10月30日朝刊 : 学習院大学 小山 明宏)

日ハム社債、格下げ検討

 アメリカの格付け会社ムーディズ・インベスターズ・サービスは、02年8月9日、日本ハムの社債のうち、長期債の格付けを、現在の「A3」から引き下げる方針で、見直しにはいることを明らかにした。見直し検討の理由は、「ブランドイメージや収益などにマイナスが及ぶことが懸念される」ということである。日本ハムは、国内のハム・ソーセージ生産量の約20%、食肉メーカーの調理食品の売上高の40%以上を占める大手企業だが、輸入肉偽装の問題で、消費者や市場の反発を招くこととなり、流通各社の日本ハム製品撤去の動きが始まっていた。(その後、Baa2へと格下げされた。著者註)
(朝日新聞、平成14年8月10日朝刊 : 学習院大学 小山 明宏)